いのちとみその輪の描く未来

1,かまびすしいみそ文化

味噌の「噌」の字は、かまびすしいと読みます。

その意味は「にぎやかしい」です。

味噌=味(あじ)+噌(かまびすしい)=味がにぎやかしい。

味噌に含まれる成分は多種多様で、様々な味、様々な効能を持っています。

地域ごとの味噌は多種多様で、それぞれの暮らしに根ざした味噌が存在していました。

そんな味噌を作ること、食べること、分け合うことは、一人一人の思いやエネルギーが集まりあって、コミュニティの未来を作っていくことにつながります。

味噌の文化は、まるでクラウドファンディングそのものだと気づきました。






2,みそ蔵を支えてきたファンディングの文化

愛知県岡崎市、岡崎城から八丁の距離にある元八帖村(現八丁町)には今も、マルヤとカクキューという長期熟成豆味噌蔵があります。




仕込まれる味噌は、1樽あたり3〜5トン。



この味噌を、3年以上寝かせて、ようやく出荷が始まります。

岡崎で生まれた徳川家康は、この八丁味噌を藩のスタッフに配給していました。

江戸城建立の際には、そこで働く大工のために、八丁町から味噌を運んでいました。


また、みその購入代金を仕込む前に支払うことで、蔵の経営そのものを支えていました。

みそ蔵の経営を、藩が支える。


みそ蔵を、コミュニティが支える。

このようなあり方は、武田信玄による「信州みそ」や、伊達政宗による「仙台みそ」にも見て取れます。

味噌を仕込むための大豆や塩の仕入れ、

3年寝かせる間の蔵スタッフの人件費、
光熱費や税金、施設維持費、
3年以上寝かせて販売を始めてから回収するというリスク。

これらの資源調達を、蔵に背負わせることのないように、みなで支えていました。

仙台みそを作っていた御塩噌蔵(おえんそぐら)。


このみそ蔵の味噌は、地域で育てた大豆や塩を使って作られ、地域の中で分け合って食べられていました。

御塩噌蔵の敷地内には、糀や味噌を仕込む職人とその家族が暮らす長屋も建てられ、味噌コミュニティのようなものが成立していました。

味噌の文化は、現代で言うところの「トラスト」や「クラウドファウンディング」によって成り立っていました。



3,新しいみそ文化をファンディングする


現代、手作りの味噌が市場に出回りにくい理由の一つは「手作りの食品を売るには免許が必要」という法規上の制限が大きく影響しています。

この事が原因で、梅干しやぬか漬け、醤油、味噌といった手作り発酵食品の多くは、大手企業が作ったものばかりが市場に出回るという状況が続いています。

さらに味噌のような、発酵熟成に時間がかかる食品を作って販売するには、仕込む前にかかる材料費、仕込むための光熱費や人件費、味噌を寝かせている間の光熱費や人件費、施設維持費がかかってきます。

みそを仕込んで、寝かせて、無事にある程度の量の味噌を売れた時、初めて投入した資金を回収出来ます。

そして、味噌が長期熟成になればなるほど、材料にこだわればこだわるほど、みそ蔵の抱えるリスクは大きくなります。

明治以降、急速に地域のみそ蔵が衰退して、政府が支える短期熟成、低コストで味噌を作る大企業だけが残っている現実は、このリスクを支えてくれる地域や購買者が居なくなったことが大きく影響しているということが分かってきました。

今、とりわけ2011年以降、手前みそ、手作りみそ、地域のみその魅力を知る人が増えてきました。

そして「みそを知る」「みそを作る」の次のステップは「みそ屋」や「みそ蔵」をコミュニティで支えながら、暮らしとみその関係が育っていくような「みそ文化づくり」だと思います。


「みそをコミュニティで支える」と言った時の「コミュニティ」は、意識のコミュニティの事でもあります。

現代、同じ地域に住んでいる人同志、勤務地が遠方であったり、土地というよりは家賃で選んで、地域というより「家」や「部屋」に孤立しあって住んでいる事が多く、地域の繋がりの中でみそ屋を守ることは難しいと思います。

そして同時に、インターネットや電話やメールなどをつうじて、同じような価値観や方向性を持つ人達が、あたかも「地域住民」のように繋がりあって、一つの活動、コミュニティ、ビジネスを支えある事は可能だと思いますし、そのような支え合いでいくつものムーブメントが育ってきているのも事実です。


みそを知ること、みそを作ること、みそを食べること、みそを分け合うことを大切だと思う人達によるコミュニティのようなものをつないでいくこと。

これが「いのちとみその輪」の取り組みを通じて実現したい未来です。




4,みそとつながり、健やかさを分かち合う

みそは古い時代から受け継がれてきた、体を助け、地域を助けてきたありがたい宝物。

■江戸時代に伝わる言葉

みそ汁一杯三里の力 

みそ汁は不老長寿の薬 

みそで飲む一杯、酒に毒はなし

みそ汁は朝の毒消し


■『本朝食鑑』味噌の項より


腹中をくつろげ、血を活かし、百薬の毒を排出する。 
胃に入って、消化を助け、元気を運び、血の巡りを良くする。 
痛みを鎮めて、よく食欲をひきだしてくれる。 
嘔吐をおさえ、腹下しを止める。 
また髪を黒くし、皮膚を潤す。 

※「本朝食鑑」は江戸時代にまとめられた食品の効能や作り方をまとめた書物です。






みそにまつわる様々な言葉は、みそを大切にしてきた暮らしの積み重ねから紡ぎ出されたもの。

みそをたしなみ、みそを語り、みそとともにある暮らしのありがたさを受け取りながら、新しいみそ文化を共に創造していけたらと思います。




5,みそ文化の未来

みそのまわりには、大豆や塩や糀、土や空や微生物、仕込む人や樽を作る人や材料を運ぶ人が存在しています。

大豆の栽培や塩炊き、田畑の世話、みそ仕込み、運搬や販売をする人達が存在し、支え合っています。

みそがある暮らしのまわりには、みその文化があります。

みそを知り、みそを作ることの先にある、みそ文化の創造。

みそをつうじて、このような未来につながっていく道を歩んでいけたらと思います。


・みそとつながる多種多様な営みがにぎやかしい未来
・大豆畑トラスト
 定期的にみそ作りが続くことで、農家は安心して大豆を栽培できる。
・種を受け継ぐ地域づくり
 味噌の原料である大豆、米、麦の種をとり、蒔き、育てる人たち。
 大豆や米や麦を使ったみそとともにある暮らしが、種を継ぐ人たちとつながっている。
・みそ蔵ファンディング
・糀屋の再生
・土壌の改善
・味噌屋の復活
・味噌にまつわる様々な仕事づくり
など。


・みそが育む健康的な未来
・みそ汁のふるまいや子ども食堂などを通じて心身の健康に貢献しあう関係性づくり
・消化や代謝、血圧調整、様々な働きを持つ味噌を「みそ汁で医者いらず」という言葉のままに分かち合う。
老若男女が天然手作り味噌を食べる暮らし
・みそがあることで、一人暮らしでも簡単に自炊できる生活
・薬に頼らず健康管理ができる
・みそをきっかけに、様々な伝統的な自然療法、民間療法が取り入れられていく


・みその持つ多様性からつながる非暴力な未来
・どんな場所でつくったどんな味噌も、味噌。
・「すべてのみそが素晴らしい」という、多様性を認めあう「みそ文化」の再生。
・そのような文化が、ひとりひとりの個性の多様さを認めあう社会作りにつながる。
どんな人も自信をもって手前みそを作っている世界
・不安や疑問を、一人の先生に頼るのではなく、つながりの中で解決していける世界
・各地の味噌がお互いのよさを認めあいながら高めあい、祝いあっている世界



など・・・

このような未来につながる活動として、いのちとみその輪ファンディングを始めます。

参考記事:
『みそとコミュニティの未来』
http://inochitomisocf.blogspot.com/2018/09/blog-post_36.html

『みそづくりのある未来の商店街』
http://inochitomisocf.blogspot.com/2018/09/blog-post_17.html





6,みそのような、多様であたたかい文化を

みそは人と人をあたたかく、やさしく、わけへだてなくつなぐ平和の存在そのもの。

みそのあり方、みそを醸す微生物たちのあり方からの学びが未来を作っていくように感じます。

全国各地でみそ作りをしたり、手製のみそやみそ汁を振る舞うたびにそう感じます。

そして、そこに国境がないことも感じます。

カナダでも、メキシコでも、アメリカでも、手作りみそ汁は大好評でした。

相手が誰であれ、どんな言語を話す相手であれ、どんな思想を持った人であれ、みそ汁は「ウェルカム」という気持ちを伝えてくれます。

みそ汁は、その人のおなかや心に、わけ隔てなく働いてくれます。

みそとみそ汁を囲む場は平和そのもの。


生命の健康に貢献する喜びを祝い合うエネルギーがその場に満ちていきます。

みそ汁を囲む平和な食卓が世界中に広がる未来。

そのような未来を育んでいく仲間を増やしていきたいし、仲間同士を大切にしあう関係性を育んでいきたいと思っています。

その呼びかけが「いのちとみその輪ファンディング」です。

ファンディングの内容については、別ページ『いのちとみその輪ファンディングの中身』をお読みください。


ひとりでも多くの方の参加をお待ちしています。

いのちとみその未来に向かう旅をともにする仲間との出会いを、心待ちにしています。

どうぞ宜しくお願いします。

いのちとみその輪 冨田貴史

◎「いのちとみその輪」の具体的な取り組み
https://inochitomisocf.blogspot.com/p/blog-page_17.html


◎ご不明な点などありましたら、お気軽にお問い合わせください。

冨貴書房・冨貴工房 冨田貴史
fukikobo@gmail.com

0 件のコメント:

コメントを投稿